ブルースハープの演奏テクニックについて
ブルースハープ(10ホールズ・ハーモニカ)にはベンド以外にも様々なテクニックが存在しています。
トリル、ベンド、ビブラート、タングブロック..などがそうですが、これらのテクニックを自由自在に扱えるようになってこそ初めてブルースハーピストと名乗れるわけです。
知っておきたいブルースハープのテクニック
トリル
トリルは2つの音を交互に連続して吹くテクニック。
ハープは基本、顔はあまり動かさず手と腕を動かして演奏するものですが、トリルにはハープを動かすやり方と頭を左右に動かすパターンの2種類があります。
どちらのやり方を選ぶかはお好み次第。
しかしまあ、顔を動かした方が安定して粒のそろった単音トリルが出来ると思います。
<やり方>
・45穴を交互にゆっくりと吹いていく
・譜面では16ビートで表記してますが、これはおおよその目安。正確に吹く必要はありません
・慣れてきたらスピードを上げる
・吸音パターンでもトリルを練習してみる
・ベンドやフェイクもからめて音を変化させながらトリルをしてみる
ワープリング
ワープリングは「トリルの大雑把」と考えて良いと思います。
トリルは単音を連続して交互に吹きますが、ワープリングはコード(2音)を連続して吹きます。
やり方にしてもトリルと同じですが、ワープリングはハーモニカを持つ手を素早く動かした方がやりやすいですね。
ビブラート
ビブラートは出した音を震わせるテクニックで音楽全般に使用されるテクニックです。
ブルースハープにおいてはベンドと同じくらいよく使われるテクニックでして、そのやり方にしてもいく通りか存在しており、大別すると手を使ったビブラートと口(喉)を使ったビブラートに分けることが出来ます。
難易度については、、手を使ったビブラートはそれほど難しくはありませんが、喉を使うスロートビブラートというのは習得するまでかなりの期間を要すことになります。
右手をパタパタさせるビブラート 難易度★★
一番オーソドックスなビブラート。
右手の親指をハープに固定させて、他の指をパタパタと動かすと音にビブラートがかかります。
パタパタさせるスピードはゆっくりでも早くでもけっこう。そこは感情のおもむくままやってみましょう。
手首を動かすビブラート 難易度★★★
右手の指をハープに固定した状態で、次は右手の手首をクイクイ動かしてビブラートをかけるやり方。
こちらもそれほど難しくはないです。
指をパタパタさせるビブラートよりは変化がわかりづらいので、微妙に変化をつけたい時に使われます。
ムーブビブラート 難易度★★
ムーブビブラートは左手でハープを固定した状態で、右手の指でつまむようにハープ全体を前後させて音を震わせます。
どちらかろいえばパフォーマンス的な要素も強いビブラートでし。
タンギングビブラート 難易度★★
タンギングビブラートは手でなく「舌」を使ったビブラートです。
やり方はハーモニカを咥えた状態で音を鳴らしながらもレロレロレロ..と舌を前後に動かします。すると音色にビブラートがかかります。
ベンディングビブラート 難易度★★★
タンギングビブラートは舌を使いましたがベンディングビブラートは「唇」を使います。
やり方については説明が難しいですが、小刻みにベンドを繰り返す感じで音を震わせます。
エレキギターでいうところの『ワウワウ』エフェクトをかけるつもりで唇を閉じたり緩めたりするのがコツですね。
スロートビブラート 難易度★★★★★
最後に紹介するのがビブラートの最高峰、その名もスロートビブラート。
スロートビブラートは前述したとおり「のど」を使って音を震わせるビブラートです。
これははっきりいって高度なテクニックなので習得に時間がかかるとされています。
スロートビブラートを自在に出せるようになれたら、ブルースハープをマスターしたと豪語しても良いと思います。
<スロートビブラートのコツ>
・子供の泣く時、のどをヒクッヒクッさせる動きをマネする
・喉に手をおき、のどがオッオッと動くように吹き吸いしてみる
・腹式呼吸が必要。仰向けになって吹いてみると自然と腹式呼吸になるのでコツを掴むまでは仰向けで練習する
・最初は声を一音一音切るようにする
スロートビブラートは上手く鳴らせると独特な哀愁漂うビブラートになるのが特徴です。
やり方については、これは説明出来るものではなく感じるものに近いですね。
よって説明する人次第で教え方も変わってきます。
難しいと感じるのは、おそらく普段使っていない喉の筋肉を使用するから思うように喉(の筋肉)が動いてくれないのでは?と思います。
しかしまあ、難しいとはいっても一度コツをおぼえてしまえば出来るようになるので地道にマスターするようにしてください。
■スロートビブラート参考動画
バンプ奏法
フーチャカフーチャカ..ブブ〜
といった感じに「汽車が走るイメージ」を連想しながら吹くテクニックです。
やり方についてはコード奏法を使って吹き吸いするんですが、
イメージとしては汽笛から始まりだんだん加速していき、そして加速が最高潮になったら徐々に速度を落としていく..といった感じ。
文章で書くとわかりにくいかもしれませんが次のパターンで構成されています。
パターン1(汽笛開始部分)
2 2 ② ② 2 2 ② ②
3 3 ③ ③ 3 3 ③ ③
パターン2(ゆっくり動き出す部分)
2 ②② 2 ②② 2 ②② 2 ②②
3 ③③ 3 ③③ 3 ③③ 3 ③③
パターン3(加速部分)
11①① 11①① 11①① 11①①
22②② 22②② 22②② 22②②
33③③ 33③③ 33③③ 33③③
<やり方>
・口で「フー・タカ」とか「トゥク・タカ」と発声するように口を動かすのが上手に出すコツ
・軽くフェイクを交えることで雰囲気がよりいっそう出ます
タングブロック奏法
タングブロック奏法は4穴もしくは3穴を同時にくわえ、舌(舌)を使って特定の穴をふさぐテクニックです。
主に複音ハーモニカで用いられることが多く、ブルースハープで積極的にやる人は少ないかもしれません。
上手な人のタングブロックは単音アコーディオンのようにリズミカルに聞こえてとても心地よいです。
Aパターン(同時に吹く)・・・1 2 3 4
Bパターン(1~3穴を舌でふさぐ4)・・・(1 2 3) 4
Cパターン(5~7穴を舌でふさぐ)・・・4 (5 6 7)
Dパターン(オクターブ奏法)・・・4(5 6)7
AパターンとB~Dのパターンを組み合わせてリズムをとって吹いてみましょう。
というわけで、長々と書き綴ってみましたが、とりあえずの説明は終わりです。
これらのテクニックは単一で使用するものではなく、あくまでメロディを補佐する装飾的な役割をもったものが大半です。
高難易度のスロートビブラートにしても同じ。
なので、テクニック至上主義にならず地道にレパートリー増やしてった方が多分面白いヨということも付け加えておきます。
以上